2011年5月20日金曜日

19 May 2011 中間報告会


今日は、赴任一年が経過ということで職場で私の中間報告会があった。

これは、今までの活動を振り返り、今後の残り一年の活動計画について話し合うためのもの。
ベナンのJICA事務所が、隊員に必ず行うようにと決めている。
形式は自由だけど、意見交換を目的とするために話し合いができるくらいの人数が望ましいとされる。
以前はJICAのプロジェクタを借りて100人くらいを呼んでプレゼンしたりすることも報告会として許されていたけど、ルールが変わって今はダメ。
たくさんの校長や関係者に、いい機会だからJICAやJOCVについて紹介したり写真を見せて好事例を示したりっていう報告会を以前は考えていたからルール変更は衝撃だった。
でも、活動内容について情報共有や意見交換をすることに的を絞るというJICA事務所の意向。
趣旨は理解できるので、プレゼンというより良い話し合いの場となる報告会を目指すことにした。

そういうわけで、今回招待したのは15人くらい。
配属先長の視学官を始めとして、視学官事務所の職員全員と委員会メンバーの校長の中から代表で3人。
そして、保健センター職員と父母会会長。
病気の人以外の招待者全員が出席してくれた。


↑JICA調整員も視学官事務所の長たちと議長席に座らされる・・

和やかな雰囲気だった報告会。

今回事前に一番考えたのは、どうやって出席者の集中力を維持するかということ。
前回の委員会会議では、途中でみんなの緊張の糸が切れてしまったのを痛感していたから。
伝えたいことは多いけど報告内容は要点を絞って簡潔に、そしてなるべく参加型にすることにした。
ベナンの人は聞くより話すほうが好きという印象。話すときは目がキラキラしている。
なので、短くプレゼン+質疑応答の繰り返し作戦。
それから、委員会の紹介プレゼンに関しては校長に頼む。事前に打ち合わせをしておいた。
私がたとえ緊張のあまり長くしゃべるのがキツくなったとしても、ここで休めるし。
とにかくテンポよく。あの手この手で飽きさせないこと。
結果的には、あっという間の一時間だった。
作戦、まずまずうまくいったかな。
よかった~。

JICAとJOCVについての紹介を改めてすることもできたし、それについての質問もたくさん出て疑問解消の良い機会になったと思う。
調整員が返答してくれると、特に資金援助などの問題に関しては話が早い。
それから、配属先の視学官事務所の職員には学校保健に直接関わっていない人も多いので、自分が普段どんな活動をしているか知ってもらうことができたのは収穫。
特に、学校保健委員会の内容や趣旨についてはちゃんと関係者に改めて整理して紹介しておきたかった。
これは、委員会の継続性や後任のサポートのため。

あと、本来の報告会の趣旨だけど、自分が今まで打ってきた企画に対して関係者がどんな風に考えているのか。
私、自分ひとりで突っ走ってないかな?
ちゃんと現場のニーズにあった企画を、実行できてるかな?
関係者の反応から、それをおおざっぱにではあるけど知ることができた。

残った課題は、視学官や教育主事から主体的な意見を引き出すということ。
私が企画、視学官がGOサインを出す、というこの関係性がなかなか変えられない。
視学官の意見を企画段階で盛り込みたいけど、未だに難しい。
でも、学校保健の他の関係者と話しあって企画をたてて、そのGOサインを視学官が出すという構図もまた有りなのかなと最近は考え始めている。
それも役割分担なのかもしれない。
ここはもうちょっとまた考えてみたい。。。

みんなが自分の報告会にこうして参加してくれた。
それが、なにより一番うれしかった。
みんなの協力や約束を守ってくれた気持ちが、とても暖かい。
そして、調整員に対して私の立場にたって熱く意見してくれた同僚たち。
校長、会長、主任。秘書のマダム。
本当にありがとう。

仕事は楽しいけど、ベナンの生活は難しいって感じるときもあるよ。
でも、今日はここでこの人たちに囲まれて働いてきた一年をよかったと振り返れた日だった。
気持ちがほっこり♪
これから一年、また悔いのないようにやっていこう。

2011年5月16日月曜日

12 May 2011 身体測定統計報告書@コトヌー

児童の身体測定を3カ月かけて行ってきたということを前に書いたことがあると思う。
これは、任地の看護師隊員とのコラボでやってきたお仕事。
委員会加盟校をすべて終えた今、集まったデータは約2,000人分。
この人数のデータは活かさなければもったいないというJICAの健康管理委員のアドバイスで、報告書としてまとめることに決めたというのが先月のお話。

そのために上がってきたコトヌー。
ベナン大統領選挙にともなう安全措置で、私たちベナン隊員はずっと都市間移動が禁止だったので、約3カ月ぶりのコトヌー!
おいしいものを食べるぞー!!
ソーセージ買って任地に持って帰るぞーー!!
仕事で上がってきたはずだけど、久々のコトヌーは良いリフレッシュにもなった。
やっぱりおいしいものが食べられるって幸せ!!

報告書としてまとめるには、まずデータの統計処理をしないといけない。
WHOの統計ソフト(正確にはグラフ化ソフトというらしい)を使って、とりあえずグラフは出た。
WHOの基準と比較して、高いか低いか。比べるのは、身長、体重、体格指数。
だけど、グラフが読めませーん!
Z-scoreとかSD(標準偏差値)とか聞いたことのない言葉が出てきてわからない!
ということで。
コトヌーで仲間の統計隊員に教えてもらうことになった。

私は数字に弱いので、はじめは頭が痛くなりそうだったけど、わかるようになると面白い。
上の写真は教えてもらっているときの様子。ドミで。
ベナンの子供は、やっぱり小さいね~。
栄養不良状態とされる子供の割合も多い。

身体測定の結果を解説する箇所は、統計隊員が自ら書いてくれて大助かり。
言葉の使い方がよくわからないから。
保健分野とは関係がないのに、快く協力してくれたことに本当に感謝。

こうして一週間かけてできた報告書。(下)
提出先はWHO、ベナン教育省、保健省の予定で、教育省表敬発表のときにはプレゼンして内容を紹介する予定。
児童の栄養失調問題はMDG(ミレニアム開発目標)に入っていないことで見過ごされがちだけど、あえてUNICEFやUNDPにアプローチするのも面白いかもしれない。
でも、それに先駆けて日本人関係者とJICAへの報告目的のために日本語バージョンを完成させる。
まだ少し考察部分を修正するけど、大方、形になった。

提案箇所はまだまだ自分の知識や研究が足りないことで、どれほど意味のあるものとなったかはわからない。
ただ、今回の報告書は論文ではないのでこれくらいが適当かと思う。
すごく難しいところだけど。

久しぶりに論理的に頭を使ったような気がする。
ぶつかる壁も多々あったし今もまだ完全に満足できるものだとは言えないけど、書いているときはとにかく楽しかった。
理系の論文の書き方や流れも少し知ることができたのも面白かったし。
考察部分(問題指摘と解決のための提言)をまとめるために、多少関係資料も読んだことで知識が増えて自分の活動をとりまく全体像が見えてきた。学校保健の意義とか、それをとりまく国際潮流とか。
国家レベル、地域行政レベル、コミュニティレベルでの課題とか。
1年前に同じものを読んだ時にはあまりよくわかっていなかったことが、実務を行ってきたことで今は言っていることがすごくクリアに見えてくる。正直、目から鱗!
開発学っていうのは、現場を知ってやっと言っている意味が本当にわかるっていうところがあるんだなって思う。

これから、この報告書をどう活用していくか。
それが課題。

6 May 2011. 学校査察と住民啓発


PACKが終わり、また保健センターの主任とそのアシスタントさんとの学校の査察が再開。
委員会加盟校を訪問して、夏休み後に行うコンクールの評価基準に従って校内衛生環境の評価を行うという活動。
これは、モデル校としてふさわしい状態に学校が近付いているかを確認し、残る課題を校長や教師と一緒に考えるため。
それと同時に、村長やPTAなど一般住民を集めて衛生啓発や指導を行う。
こっちは、子供の衛生習慣に関する教育を学校と家庭の双方から強化することと、学校の公共物を汚さないでと訴えかけるのが目的だ。(上の写真。熱弁する主任と聞き入る住民たち。)

今までの仕事でベナン人とこれほど密に一緒のプログラムを実行したことは初めて。
だから、驚くこともたくさんある。
でも、この仕事はとても気に入っている企画の一つ。
気に入っている理由は色々ある。
一つは、この企画は委員会で話し合った問題に対して、そこで出た解決策を具体化して実現したものだということ。
委員会が形だけではなくて実のあるものになったことが嬉しい。
もう一つは、地元の人(主任)が必要性を感じて大きな役割を担っている企画だから。
彼は、委員会の話し合いに参加したり今まで二人で話し合って描いてきた将来の企画のために、今回の査察がとても効果的だと感じていて、やる気や熱さが伝わってくる。
主任が自ら地元の人に啓発や指導を行うことが生む効果は、私が同じことをするよりも何十倍も高いと感じている。
それは、彼が地元の事情をよく知っていて、その事情にそぐう専門知識があるので適切な説明をできるということ。
それから、聞く側の姿勢が違うこと。主任が来るということで住民も真剣になるし、この会合は大事なことなんだなと思っている様子。まず、聞く姿勢を引き出さなければ何の話も馬の耳に念仏なので、このことは大きいと思う。
ベナンの社会は、権力のある人や年長者に敬意を示し、人々はその人たちの言うことを尊重する傾向がある。
ある程度の地位がなければ、言っていることが正しくても、場合によっては笑い話ですまされ真剣に取り合ってもらえないようなところもあるように感じる。

私は自分のここでの役割は、地元の人たちの活動に推進力を加えることだと思っている。
外部から推進力として付け足すものは、新しい視点かもしれないし、技術かもしれないし、資金援助かもしれない。
ただ、その土地に将来訪れるべき未来像は地元の人たちによって描かれるべきだし、その実現は地元の人たちが自分たちの意思と手、そして想いで行われるべきだと思う。
この企画では、話し合いの段階、企画段階、実行段階すべてで地元の人が主体となってきた。
だから、私はある意味で納得が入っているのだと思う。

主任とも目的を共有する本当にいいパートナーとなれて、なんだかチーム。仲間。
最近はそんな言葉がしっくりくる。
それもとても嬉しい。


学校。改善が見られている。前はなかった簡易水道が校長によって設置された。


遠くから手を振る子供たち。「ヨボー(白人)!」 笑顔がかわいい。
子供がとても嬉しそうに設置された簡易水道の水を飲んだり手を洗ったりしている。
青空会議中にずっと見ていると、みんな頻繁に水を飲みに来て、以前バケツに水が貯めてあるだけのときは飲んでいる子の姿はあまり見なかったのに、みんな実は喉がかわいてたのかな?と思う。

きっといつかこの新しく購入された器具も壊れるときが来るだろう。
その時に校長が修理したり、また新しいものを購入するかどうか。
それが継続性という一番難しい課題。
そのためには、校長や先生たちにこういう設備をもうけることの大切さを心から理解してもらわないといけない。
今はたとえ小手先の改善でも、水が徐々に土壌に染み込んでいくように少しづつそれが当たり前のことになっていくといいなと思う。

2011年5月1日日曜日

24.April 2011 PACK@教会


ベナンには複数の宗教があって、その割合は、伝統的宗教(65%)、キリスト教(20%)、イスラム教(15%)*。
伝統宗教というのは、大方ブードゥー教という精霊信仰のことを指していると思う。

おかげでこの国には、ラマダン明けなどのイスラム教がらみ、復活祭などのキリスト教がらみの両方の宗教由来の祝日が存在する。
近年、ブードゥー教に由来した祝日も認められた。これは歴史的な出来事だったという。
そんなわけだから、宗教由来の祝日がベナンには多い。
うちの配属先長が、ベナンは祝日が多すぎる!我々は休みすぎだろう!?と言っていたほど。
あと、宗教がらみの休みは陰暦に基づいていることが多いから、いつも来週何曜日が休みだっけ??と直前まで月曜だの水曜だの色んなうわさが飛び交い、結構翻弄される。

現在4月の終わりは、キリスト復活祭(PACK)。

学校はこの期間、2週間くらい休みになる。
PACK期間中人々は何をするのかといえば、教会に行く。
教会に行く。そして、教会に行く。
校長は、一週間教会に通い続けるというようなことを言っていた。
職場の視学官事務所は学校が休みでも通常業務なので、私たちはそこまでPACK一色にはならないけど。

そんなわけで日曜日、私も教会に行くことにした。
仲の良い校長に連れて行ってもらったのは、カトリックの教会。
コトヌーではホームステイ先の家族と一緒にいっていた日曜礼拝も、任地に赴任してからは行かないままになっていた。
何度か、校長や同僚に日曜連れて行ってね~と頼んでいて、行こうとはしてたんだけど、毎週挫折。
ベナン人の生活は本当に朝が早くて、ミサも8時から始まる!
私は朝が弱いから普段の仕事よりも早い時間に休日に起きるということができず・・。

でも今日は起きた。
結局2時間遅れで開始したミサ。
たぶんPACKのミサだからいつもと違う雰囲気なんだろうと思う。
教会の中はきれいなリボンで飾りつけ。デコレーションきれいやろ?と校長。
入りきれないくらいの人が礼拝に来ていて、外まで椅子が並べられている。
おそろいのベナン服を着た女性たち。
その服のプリント柄には、両手を広げたキリストの絵。
今日のために仕立てたのだろう。
横を見ると、キリストの像。でも、なぜか柵で囲われている。
囲っている柵が小さいのと、鉄の色がそのままなせいで、キリストが牢屋に閉じ込められているような感じ。ちょっと不思議。
神聖なご本像にいたずらをしたり傷つけたりしないようにという配慮からなのだと思うけど。

ミサの内容は、なんというか、わからないところも多かった。
現地語なので半分くらいのアナウンスがさっぱり理解できない。
聖書を読んでいるところはわかるけど、それ以外に特にフランス語で説教はなかったし。
歌う聖歌も現地語だから歌詞の意味がわからない。
とにかく、人々は歌い、祈り、踊り、踊り、よく踊っていた。

面白いなと思ったのは、神様におそなえものをするのだということで、列になった女性たちが頭に色んなもの、やむ芋とか料理とかをのっけて行進していたこと。(写真)
お供え物のなかには、檻に入ったアグチ(食用ネズミ)もあった、
私には神様におそなえものをするという印象がキリスト教にはなかったので、アフリカの文化に根付いているのかな?と思ったりした。
そして、ミサの最後には延々と続く寄付の金額と名前の発表が。
500フラン(100円)でもちゃんと発表される。
これも、お金に強い関心を持つベナン社会を反映している(?)
アナウンスが終わらないので、私と校長は教会を後にした。

現地語の部分はよくわからなかったけど、それでも。
久しぶりにちゃんと聖書を読んだり、祈ったり。
遠くにいる家族や友達のことを思ったり、今までのことやここでの生活を振り返ったり。
それはとても良い時間だった。
そして、大切なことを色々思い出せた時間だった。

*日本外務省基本情報より