2011年11月24日木曜日

23 November 2011 HOCAほかプロジェクト進捗-建設工事ー

協力隊広島県OB会の資金援助を受けて開始したエベシ小学校トイレ建設。

始めから、課題は山積みだった。
まずは資金が足りないということ。
これは住民寄付で補うことになり、懸念していたほど問題にはならなかった。

次に工事の大きな妨げになったのが、雨。
雨季に入る時期に建設工事を始めることになったので、多少の遅れは予想された。
けれども、実際遅れは多少どころではなくて雨季の間じゅう建設が全く進まないという状況に陥った。
トイレの穴は掘られているけど、雨が降る度に水が中に溜まってしまう。
校長の指示で、児童が水を汲み出しても3日と経たずに雨が降る。
また水が溜まる。児童が水を汲んでも汲んでも雨が降って元通り。
3回はこんなことを繰り返したけど、雨季が終わらないと無理だという結論に達した。
3日以内に雨が降ってしまうとセメントを固めることができない。

11月に入って雨季がようやく終わったけど、次の問題は大工。
依頼している大工が来ない。来てもすぐ出かけていって戻ってこない。工事が始まらない。
校長も大工をコントロールしきれていない様子。
乾季に入ってだいぶ経つのに、大きな口を開けたままの巨大な穴。
その縁で穴の奥を見ながら、立ち尽くした。
どうする・・
一瞬悲惨な気持ちにもなった。
広島県の皆さんのお金をつぎ込んでいるのに、期限までに完成しませんでしたなんてことは・・。
4者面談をした。大工と衛生管理主任と校長と自分。
期限と返済義務と経緯を確認。
ようやく数日後に工事が開始した。
一度着工されると経過は順調。
大工は休日返上で働き、生徒も真剣にお手伝い。
住民の協力もすばらしい。
下は、昨日の写真。



そしてこれが今日。
進んでる進んでる!
これから屋根や扉やパイプをとりつける。



トイレの中。
二人の生徒が一緒にできるようにって一つの個室に穴が二つ。
これは良い案なのかなんなのか・・。



今日は、隊員の任地の職場環境などを見に来てくれたJICAの健康管理員さんも建設中のトイレを一緒に視察。



前回JICA調整員が視察に来てくれた時には、水の溜まった穴を見せることしかできなくて心配をかけた。
このまま何事もなく工事が進めば、来週には完成予定のこのトイレ。
引き続き経過を見守る。

2011年11月14日月曜日

13 November 2011 誕生日会@グラズエ

今日は地元のベナンの人たちを招待して、誕生日会をすることにした。
会場は、うちの庭先!
お昼の12時に来てね、と金曜日にみんなには声をかけていた。
みんな来てくれるかなー?
忘れてないかな?
ちょっとドキドキ。

地元のイニャムピレという料理をふるまうのが、こっちのパーティ。
招待する方がすべておごるというのは、どんな小さな食事会でも守られるベナンでのルール。
だから、木曜日に大量のイニャムピレ用のヤム芋とホロホロ鳥を二羽買った。
何人来てくれるかわからないけど、ちょっと多めくらいに。

お昼前にうちの警備員たちと彼らの奥さんが来て、庭先で料理の準備を始めてくれた。
今朝、昨日まで家の裏を歩いていたホロホロ鳥の命が捧げられた。
食のありがたさ、かけがえのなさを感じる。ありがとう。



料理のために羽をむしってくれているうちの警備員。



あまり気持ちの良い光景ではないので思わず身震いしたから、奥さんたちはあまり見慣れないんだねと笑っていた。



ベナン人は時間にゆったりなのに、招待した12時に既に何人か来てくれていてその後も続々と続く。
配属先長も来てくれた。位のある人なのに、なんて良い人!
気が付くとたくさんの人が、料理ができる前に集まってくれていている。
だんだんあせり始めた。
全然、イニャムピレができる様子がない。だいぶ時間がかかりそう!
とりあえず写真をとったり、DVDをつけたり、食前酒を出したり・・あたふた。



ベナンの誕生日会では、招待した主役が感謝のスピーチをして、みんなでお祈りをするらしい。
だから私も日ごろの感謝や来てくれた御礼のスピーチをした。
みんな優しいまなざしで聞いてくれていた。
あと5ヶ月間ベナンを発つまでの時間を大事にみんなとたくさん楽しく一緒に過ごしたいと言うと、拍手と笑顔で答えてくれる。
校長の一人が代表でお祈りをし、みんなそれを目を閉じて相槌をうちながら一緒に祈ってくれた。
うれしくて、じーん。感動してしまった。

そうこうしているうちにやっとイニャムピレができあがって、飲み物を片手にみんなでムシャムシャ!



冗談を言い合ったり、日本やベナンのことを話したり、とても楽しい食事になった。
一緒に働いてきた人たちやよく行くお店の店員さん、彼らと仕事じゃなくて友達として過ごす時間。
みんな明るくとても楽しい人たち。そして、何より温かい。

来てくれた人たちはそれぞれ、帰り際にもう一度たくさんの笑顔と握手と誕生日のお祝いの言葉をくれて帰っていった。「100歳まで元気に生きられますように!」「ご両親もずっと健康で、あなたとともに生きられますように!」そんな風に。

その後、2次会という雰囲気で身内とも呼べる警備員や彼らの家族とイニャムピレを食べた。



なんだか家族の中にいるみたい。
ほっとする。みんな私のことを自分のことのように考えてくれる。
今日の働きだってそうだ。あなたたちがいたから、この会を開くことができたよ。
たくさんのおしゃべりをする。一緒にDVDを見たり。一緒に笑い合えるのがうれしい。
時々怒ったりしてごめんねと私が言うと警備員は、仕事は仕事なんだから大丈夫ですよ!なんであなたのことが好きかというと裏表がないからです、と言ってくれた。ううっ、なんて良い人!ありがとう。。

今日は、職場の人たちや校長たちや警備員やその家族・・たくさんの人たちと普段話さないようなことを話すことができた。特別な機会だったことでベナンの人のいろんな所も見えた。
もちろん食べ物もふるまったけど、来てくれた人はもちろんイニャムピレを食べにきたのではなくて、本当にお祝いをしにきてくれたんだなってことが心から感じられた。
今日、行けないからと手紙や心づけを届けてくれた人もいた。わざわざ行けなくて申し訳ないとC/P(教育指導主事)は首都から電話をくれたりもした。
どうやら、ここではパーティを開いてそれに招待することは、あなたと一緒に何かを祝いたいという友好の気持ちの印だからこそとても大切にされているようだ。だから呼んだ人のほとんどがこうして集まってくれた。
そして、同じものを一緒に食べるということは家族の絆のような意味を持つらしい。
今まで誤解していた部分がたくさんあったんだな、とベナンの人たちの魅力をもっともっと発見することができた。

校長や警備員が今日言ってくれた言葉は、これから忘れずに大切にしていきたい。
「肌の色が違っても、流れている血はみんな同じように赤い。」
「人と人との関係は、鏡のようなもの。だから、こうやってたくさんの良い人たちに囲まれているのはあなた自身がもたらしたものなんだよ。」
「あなたには、人間らしい心がある。」
きっとその言葉たちは、自分の心が弱くなるようなとき、自信がもてなくなったり自分が嫌になってしまうようなとき、助けてくれるだろうと思う。

2011年11月11日金曜日

09 November 2011 誕生日

今日は、お誕生日。
国内外、世界の色んなところからお祝いのメッセージをくれた人たち、本当にありがとう!

一年に一度の特別な日だけど普通の平日だし、なんだか実感がなかった。
ベナンに来てから二度目の誕生日。
考えてみたら去年もやっぱり任地のグラズエにいたなー。

でもちょっとくらいお祝いしてみようかと、お昼は新しく配属になったばかりの同任地の隊員さんと仲の良い校長たちを呼んで一緒にご飯を食べた。
ベナンではお祝い事をするときは呼ぶ方がおごるという習慣。
だから限界アリ!
でも、なんとなく心を許せる人たちにおめでとーと言われて、ささやかなプレゼントを校長がくれたりして、それだけでほのぼのと心が温まった。
日曜日には警備員とその家族たち、職場の人たちや親しい校長たちを呼んで、家の庭で誕生日会をする予定。
ヤム芋をついて作るイニャムピレという地元の料理を振舞うというのがこっちのスタイル。
20人くらいのヤム芋代とホロホロ鳥を用意するだけで既に結構お金が飛んだ。
でも楽しみ。

こうしてまた一つ大人になったわけだけど、今年の目標をひとつ。
今一番必要と思うもの。
それは「信じる強さ」。
自分を信じること、未来を信じること、人との絆を信じること。
そんな強さを身につけること。

2011年11月7日月曜日

04 November 2011  日本文化紹介in世界女性フェスティバル

パラクーという北の大都市で、世界女性フェスティバルという催しがフランス文化センター(CCF)で開催された。
3夜連続のフェスティバルで、1日目はフランス、2日目は日本、3日目はアフリカ地域、が各々文化紹介を行う。
このフェスティバルの趣旨は、女性の権利を見直したり社会進出を促すというもので、文化紹介をするのはすべて女性。そして、この催しものに足を運ぶためにベナンの女性が夜お出かけしたりすることに貢献することも狙いだそう。

主催者によると、ベナンでも北の地域では特に宗教の影響もあって女性はまだまだ家に閉じこもりがち。
社会的な通念がそれを少なくても容認している。
しかし、国や地域の発展は女性の参加なしではなし得ないと彼は語る。

そういうわけで、2日目の日本文化紹介のためにベナンの各地から女性隊員が集まり(一部男性隊員もお手伝い)、にぎやかな夜となった。

日本の服装を紹介するためのファッションショーで、浴衣や制服を着て披露。



浴衣を着たベナン人の司会者もなかなか似合っていた。
そして超ファインプレーな司会!



私は、恥ずかしながら日本舞踊を・・。
日舞は長くやっていたわけでもないし、もう何年も踊っていなかったので最近は毎日朝連><。
途中で止まったりせずに踊りきれたからほっとした。
技術的には見せるのも恥ずかしいような踊りだけど、ちょっとでも日本の文化を知ってもらえたり来ていた人を楽しませることに貢献できたなら嬉しい。
急遽、浴衣や扇子をベナンに送ってくれた家族や音源を届けるのを手伝ってくれた方に感謝。



カラオケで歌の披露。
同僚隊員の美空ひばりには聞き入ってしまった!あっぱれ!!



バックダンサーたち。
おそろいの衣装を作ったそう。キキちゃん。歌はルージュの伝言♪



その他にもヨサコイや空手、ラジオ体操など様々な催しが。
特にラジオ体操をベナン人も一緒に、というシーンでは会場がわっと盛り上がった。

とにかくやってる方もとても楽しめたイベント。
企画をがんばったパラクー隊員さん、お疲れ様でした!
来てくれた人も同じように楽しめてたらいいな。

03 Novembre 2011 第三回地域学校保健委員会開催

新学期が始まってゆるゆると活動をしていたけど、前学期に本当はやろうと思っていた地域学校保健委員会の第三回会議。これをやっと実現することができた。

前学期に委員の各校で行った児童の身体測定や学校の衛生環境査察の結果。
これを発表して、そこで見つかった問題を話し合わないと!
せっかくやった活動もやりっぱなしで効果が半減。
関係者に対しても、中途半端な活動という感じで申し訳ないし委員会の意義や信頼を失いかねない。
だからこの会議は必須。ずっとやらないとやらないと、と責任を感じてきた仕事だ。

新学期一発目の委員会としての活動。
今回この会議には、委員の校長15名全員が参加してくれた。
これはかなり奇跡的なこと。
もちろん視学官事務所からの「学校を抜けてもいい」ということを意味する公式の召集をかけて会議は行っているのだけど、毎回なんらかの理由で来れない人がいる。令状が届いていなかったとか、他の都市で用事があるとか。
だから今回の集まりのよさは(もちろん運もあるかもしれないけど)各々が会議で得る物があると思って尊重してくれた結果でもあるのかと思い、とても嬉しかった。

会議は配属先のトップの視学官が司会をできなかったにもかかわらず、代理の教育指導主事が良い働きをしてくれ、実のあるものとなった。
保健センターの主任もその威圧感がすごく、会議の重要さを高めるのに貢献してくれた。
彼の長い説教じみた話の時にどんどん聴いている側の校長たちが眠りに落ちていったときはどうしようかと思ったけど、司会の教育指導主事がうまく話を現場レベルで校長を引き付ける内容に戻してくれた。
教育分野と保健分野のトップ同士がよいバランスで会議を作り上げてくれてたように思う。

身体測定や校内衛生査察の結果や順位の発表では、自分に関係することなので校長たちは興味を持って見ていたし、改善のためにどうしたらいいのかという質問も校長側から出た。
そして、それを参加者全員で考え良い案を出し合うという流れに自然となっていった。
その、現場に見られる問題点の認知と原因の追究、解決策をともに考えるという話し合いは、今回最も自分が会議の目的としていたものだ。それが積極的に行われたという点で、今回は本当に実りのある会議となったと言える。

委員会の形(例えば、参加者に村の権力者を入れたらどうか?)とか学校保健活動への住民参加の難しさ、校長が他の校長を指導することの立場の難しさなどについては課題が残る。
けれども上に書いた理由から、自分としては今回の結果はとりあえず喜ばしい。

委員の校長たちとも前期の活動を通して信頼関係が生まれているのを感じるし、一緒にいて心地いい。
協力し合って行った活動を意味のある物だったと喜び合うこと、互いの献身に感謝しあうこと、冗談を言って笑いあったりすること。
あー、楽しいなぁ、ベナンに来てよかったなぁ、ここの人たちみんな好きだなぁって心から思えた日だった。

2011年11月3日木曜日

02 November 2011 クロスロード

「クロスロード」という全世界のJICAボランティアのための情報誌がある。
青年海外協力隊事務局が毎月発行しているもの(だと思う)。
その来月号(12月号)の「2011年の隊員の成果」というような特集の中で、私と同任地の看護師隊員が合同で行った活動が掲載されるそうだ。
児童の身体測定・その統計分析・省庁に向けた提案書の作成、という職種を超えた隊員間の連携による児童の栄養状態改善のための活動として紹介されるとのこと。
突然JICA事務所の調整員から、こういう趣旨で名前を掲載してもいいかどうかと編集部から連絡があったんですが、と電話をもらった。
だから来月号の記事を見てみるまで、私自身もどんな内容なのかはよくわからない。
でも、「成果」として自分の活動を取り上げてもらえたことは光栄だし、とても励まされる。

明日は前学期から開催の時期を待ちながらも持ち越しになってきた地域学校保健委員会会議をようやく実現できそうだ。
この会議を実現できていなかったことは、今まで委員会をとおして行った活動のフィードバックがされないままになっていたということ。
だから、かなりヤキモキしていたのですごく嬉しい。

開催にあたって、また委員会を本格的に始動させていく実感がわいてきた。
委員の校長たちの期待、そして何より保健センターの主任の期待。
準備段階で地元の人たちと交わり始めると、そういう自分の背負っている責任を感じることができる。
その、地域の人々の中に自分という存在が少なからずある、自分にやるべきことがあるという感覚。
それが私に力をくれる。
一緒に実行してきた仕事にやりがいや意味を見出してくれて、自ら積極的に会議の準備にとりくんでくれている主任の姿。
校長や主任と一緒に同じことで喜びあうことができた瞬間。
協力隊員としての幸せを感じることができる。

ベナンにいる時間の意味や位置づけに関しての考えは、未だにまとまらない。
協力隊の後、自分に何ができて、何がしたいのか。
進路の迷いもそのまま。
でも、今はここでの生活や活動でやれることを精一杯やってみよう。
どうしてここへ来たのか、不思議とだんだん思い出してきたから。

25 October 2011 新学期、迷い

10月の半ばに長い夏休みが明け、新学期が始まった。

夏休み中は、校長たちはバカンスだ、研修だ、とよその都市へでかけてしまう。
活動は停滞ぎみ。
まあいい機会だと、自分も任国外に行ったりしていた。
そしたら、その後ウィルス感染したりして、気が付けばなんだかだいぶ地元から離れてしまった。
この間、ベナンの初等教育省と保健省に提出する身体測定結果分析報告書のフランス語版を完成させることができたのは良かったけども。

さて・・何から始めよう?
なんだかエンジンがかからない。
心が浮ついている感じ。
夏休み前、一生懸命になっていたことがなんだか遠い。

とりあえず、学校に行ってみる。
校長と話してみる。感覚、戻るかな・・?


仲良しの校長。
学校にあるパパイアの木。スイカくらいある実の大きさにびっくりしていたら、校長はご満悦。


小学校に隣接している幼稚園をのぞいてみた。
小さい子供たちは一段と愛らしくてかわいらしい。フランス語はまったく通じない・・。
ベナンには幼稚園の数がまだまだ少ない。

学校を訪れて校長と話すのは楽しい。
今まで築いてきた関係があるから、何かを一緒にまた始めることは比較的容易だ。
「ラク。」
今の状況を一言で表せばそんな言葉になるのかも。
裏を返せば、一年目のような新鮮さとかワクワク感がない。
好奇心や積極性が今の自分には足りない気がする。

あと任期は5ヶ月。
最後の一ヶ月はコトヌーに上京して帰国準備に入ることになるから、実際活動できるのは2月までかも。
なのに、何かを見失っているような気がする。
ベナンの生活に対する慣れ?それとも疲れ?
帰国後の進路が定まらない不安?それとも焦り?
私は何を目指しているのだろう。
あと5ヶ月、どう過ごしたいのだろう。
そもそも、なぜ協力隊に参加したのか、何がしたくてベナンに来たのか、1年半以上ここで過ごしている中で色んな考えが浮かんでは形を変えた。
だから最近、気付かないうちにそんな初心を思い出すのが難しくなっている。

もう一度大切にしたい。
ここに来た頃の気持ちを。