12月31日、大晦日。
私は任地のグラズエにいる。
ベナンは常夏なので季節感がなく、クリスマスも年越しも実感がない。
そして人々は12月30日まで出勤し、1月2日から始業する。
だから、私も昨日までは普通にためてしまった仕事を片付けるべく働いていて、年末なのかな~という感じだった。
けれども今日ばかりは、なんとなくあー年が変わるんだなぁという気がしている。
とても穏やかな気持ちだ。
そして、あー大変!年が明ける前に家の大掃除をしておかなくちゃ!とか遅ればせながら思っている。
2011年が往く。
日本では震災があり、個人的にも悲しい出来事のあった年。
けれども、たくさんの人の優しさを感じた年でもあった。
日本にいる人たちのことを思い出す。
遠くにいてもいつも見守ってくれている家族。
離れていても連絡一本で昔に戻れるような古い友人。
たくさんの人に支えられている。
学んだ年でもあった。
ベナンの人たちとは、色々な出来事を一緒に経験することでお互いを知ることができた。
彼らの素敵なところを発見できた。
日常の試行錯誤の中で、教えてもらったことがある。
笑顔にはほとんどの人が笑顔で返してくれるということ。
不機嫌そうな売り子のおばちゃんがパッと笑顔になったその顔を見ると、ああこの人はこんなかわいらしい人だったのかと思う。
心をこわばらせていたのは、自分の方だったと気づく。
そうして接するようになってから、彼らにたくさんの元気をもらうようになった。
ふさぎこんでいる時に、笑顔と冗談は心の雲を晴らしてくれた。
「人は幸せだから喜ぶのではなく、喜ぶから幸せなのだ」哲学者のそんな言葉がリンクする。
必死になった年でもあった。
何度も自分と向き合った。
そこで見えてきた弱さ。臆病さ。
今、自分は何を持っていて、何が足りないのか。
成長したいと心から願った年だった。
この一年は、たくさん泣いたり笑ったりした。
失敗もいっぱいした。
ぶつかって転んで、その度に立ち上がる。
そんなことの繰り返しだった。
だけど、無駄なことは何一つなかったと思っている。
走り抜けてきた。走れる限り走った。
だから、今はとても穏やかな気持ちだ。
これから先の道がどんな風に続いていたとしても、後悔はない。
心にあるのはただ一言。
「感謝」