2011年1月1日土曜日

29 dec 2010 また都市間移動!



任地に戻ってまだ二日なのに・・。
教育省のある首都のポルトノボに行くことになった。

今日任地を出て、アボメイという教育省の県事務所がある都市に寄り、一端コトヌーへ。
翌日ポルトノボに日帰りで行って教育省を訪れ、コトヌーに戻る。
そうするとその日は任地に帰ることができず、次の日は大みそかで交通量が増えて危険ということでJICAから移動禁止令が出ているので都市間移動はムリ。
元旦も移動禁止なので、またコトヌー滞在。
あ~。コトヌーはいいなと思っていたけど、やっぱり任地に戻ってみると落ち着くし自分の居場所があるのでまたコトヌーはちょっと面倒というのが本音。
でも、用事があるので仕方ない。

そういうわけで今朝。
アボメイへ行こうと乗合タクシーに乗ろうとしていた時。

タクシーの客寄せをしている男が、ボイコン(実質アボメイと同じ場所)行きだよ!と言うのでとりあえず車に鞄を積んでもらった。
とりあえずというのは、乗合タクシーは普通のセダンなら客が7人揃わないと出発しないからだ。
(運転手+助手席に3人、後部座席に4人。太ったおばちゃんが乗ってしまうと下半身の血が止まりそうになるほどギュウギュウ!)
鞄をこうして預けても、ベナンでは盗んだりされることはない。

今朝はなかなか客が集まらず、30分以上が経過。
県事務所に午前中に行かないとまずいのに、とちょっと焦り始める。
すると隣にバンがやってきて、もう客が揃ったので出発できるから乗れと言う。
これはよくあるパターンで、こういう場合は積んでいた鞄を下してもらって乗り換える。
普通は、まあ渋るけど下してくれる。

「急いでるし、あの車がもう出るっていうからあっちのに乗る。鞄返して。」
と頼むと、案の定、運転手は「待って!きっともうすぐ客が揃うから!」と渋った。
「いや、急いでるから。あと何人待ってるの?4人?それじゃまだまだだから、あっちに乗る。」
再度言うと、今度は運転手の隣にいた客寄せの男が、待てという。
こんなに鞄を返してくれないことは珍しいが、まあ頼めば返してくれるはずなので私も繰り返す。
「S'il vous plaît!(お願い!)」
それなのにこの男、ヘラヘラヘラヘラして車のトランクの上に座ってどかない。
「Il faut attendre.(待て。)」の一点ばり。
男がトランクの上に座っているせいで鞄を強行で取り出すこともできない。
「私の鞄返してよ。あなた泥棒じゃないでしょ?」と私が言うと、
この男はまたヘラヘラしながら、「俺、泥棒だよ。」という。
完全にヨボ(白人)の女をからかって楽しんでる。
この態度にはさすがにカチンと来た。

「泥棒ー!!泥棒ーー!!!」
「あいつ、あたしの鞄、盗んだーー!!」

大声で突然叫んでやった。
タクシーに乗ろうとしていた客や物売りのおばちゃんたちが一斉にみんなこっちを見る。
男は慌ててトランクを開け、鞄を返した。
周りの人に何か言われる前に返そう、という魂胆だろう。
一件落着。

ベナンには地域社会というものが明らかに存在して、いつも人々はその中で関わり合いを持ちながら生活している。
知らない人に対してもおかしいことは正そうとするし、もめごとがあれば仲介に入ってきてくれる。
大抵の場合そういうことをしてくれるのは居合わせた地位のある男の人が多い。学校の校長とか地域の権力者、お金持ちとか。
日本で(特に都会で)なら周りは知らんぷり、我関せず・・となりそうなところも、この地域社会では違う。
わずらわしさもあるだろうが、常に第三者の目がどこかにあるというのは安心感でもあると思う。

*写真:乗合タクシーのお客が集まるのを待っているところ。
   :グラズエーアボメイ間の高速道路