2012年3月20日火曜日

19. Mars 2012  ベナンを旅立つ日

ベナンに来て、2年が経った。
そんなに長い時間が過ぎたのかな?
でも、2年前のことは随分遠くに感じる。

私はベナンに何かを残せたのかな?
自分は少しは成長したのかな?

答えはきっともっともっと時間が経ってからしかわからない。
でも、後悔していることは何もない。
最初は、大変だ大変だと思っていたベナンとこの国の人のことを一緒に過ごす中で好きになることができた。
家族のように心配したり行く末を応援してくれる人たちに出会えた。
それが私のここでの一番の財産だと思う。
とても幸せな2年間だった。

任地のグラズエを引き上げる前は、同僚やその他の地元の友人たちとお別れパーティを自宅でしたり、最終報告会を職場で行ったり。
とても忙しくて、残った仕事をこなしていくのにてんてこまい。
これで2年の任期が終わるんだという実感は最後までなかった。

最終報告会では、学校保健の仕事の集大成として行った衛生環境コンクールの授与式も行った。
校長先生たちは、誇らしげに順位の発表を聞いてお互いをたたえあっていた。





みんな、委員会を立ち上げてから1年半以上共に活動してきた人たちだ。
各々の学校での取り組みを強化することの意義や成果をどの先生も感じてくれているのがわかった。
そして2年前と比べて、自分たちの意識や学校は変わったと多くの先生がコメントをくれた。

会場にいるみんなの笑顔とありがとうという言葉、とてもとても温かい雰囲気。
そんな中でプレゼントを贈呈された。
職場の人一同と校長先生一同から。
ひとつずつ手渡される。
じわっと涙が溢れて、ぽろぽろ零れた。
ぶつかったり、乗り越えたり、見失ったり、また歩み寄ったり。
そんな中で少しずつ深まった絆。
ここを離れるのが本当にさびしいなと思った。



お別れパーティにも親しい人がたくさん集まってくれた。
警備員一同からもプレゼントが。
そして、1年半以上私のそばで警備するとともに時には相談相手になってくれたり、なによりいつも私の見方になって励まし続けてくれた警備員、ルシアンからのメッセージ。



「私たちはベナンでのあなたの家族だから、いつでも戻ってきてください。私たちが間違ったり失敗することがあっても、いつもあなたは忍耐強く許してくれた。だから今はまるで兄弟姉妹のようにいられる。日本に帰っても、ここで身に着けた気力と忍耐力を持ち続けていてください。これから離れ離れになっていても、あなたのことを神様にお祈りしていますから、あなたも私たちのために祈っていてください・・。」

彼らがいなかったら、どんなに任地での生活が心細かったことだろうと思う。
私が何かに不安になっている時には、いつも前向きな意見をくれて明るい気持ちを取り戻させてくれた。
日本に帰ってから私は大丈夫かな?とぼやくと、ここでとてもたくさん困難なことがあったじゃないですか!水がなかったり電気がなかったり、日本と全然違う環境の中であなたはやってきたんだから大丈夫!と励ましてくれたこともあった。
何度救われたかわからない。

これからきっと日本に帰れば、ベナンとは全く違う環境の中で、任地での生活をリアルに思い描くことすら難しくなるかもしれない。
それほど、何もかもといっていいほど日本とベナンの地方都市の生活は違う。
でも、ここに心が通じ合った仲間がいるということを忘れずにいたい。
そして、苦しい時には思い出そうと思う。
ここでの時間を。
ここに暮らす人たちの力強さを。

今でもまだベナンを発つという実感はない。
だから、気持ちも言葉もまとまらない。
でも、ありがとうの思いだけはここで関わった全ての人に届いてほしい。
そして、お互いのこれから続くそれぞれの未来が明るくありますように。
そう願いながらベナンを発とうと思う。