2011年3月28日月曜日

27. Mar. 2011 身体測定のその向こう














立て続けに行ってきた小学校での身体測定も、目標としていた地域学校保健委員会の委員校10校全てでつつがなく終えた。

委員校全部では必ずやるということにこだわった結果、気がつけば測定した児童の数は1600人を超えていた。
考えてみれば結構な数だけど、たんたんとこなしてきたので私も仲間の看護師隊員もそんなにたくさんの児童を測定したという意識はなかった。

身体測定自体はもともと看護師隊員の発案で、現時点では衛生教育に力点を置いている私にとっては副次的な活動。
だから自分のこの活動を共同でやる主な目的は、委員会加盟校で優先的におこない、地域の中のモデル校という位置づけを顕著にすることだった。
うちではやってくれないの?と隣の学校が羨ましそうにしていると、委員校を優先でやってるからね、と委員校であることのメリットを強調したつもりだ。
それでも、そのイベント的性格や栄養指導に対する教師の関心を引く、ということ以外にこの測定結果をどう活かしていったらいいか自分の中ではっきりしていない点があったことは否めない。

けれどもある日、調査で任地に来てくれたJICAの健康管理員の一言で展望は開けた。
「統計処理は得意?」
その健康管理員が言うには、身体測定をこれだけの全校児童を対象に行った例は過去になく、ベナンにはデータがない。
見せ方次第で、かなり有用なデータになる。
統計を出して教育省に提出すれば、児童の栄養状態を把握することができ今後の方針を考察する材料にもなるだろうとのこと。

これを聞いて、一気にテンションが上がった!
時間を費やした身体測定を活かせる方法がある!
週末の時間を使って、どんな切り口の統計なら省庁にとって有用だろうかと調べた。
UNDP、UNICEF・・どんな統計が出ている?
これらの機関は乳幼児死亡率に重きをおいていて切り口が違った。
でも、WHOで見つけた!!
児童の栄養失調に関する統計を出すことに実際に着目している。
そして、ベナンオフィスのページにもベナン政府のサイトにもこの実際のデータはない。
需要がありそうだ。

WHOの統計の出し方で自分たちのデータを処理して、それをWHOとベナンの教育省、保健省に提出する。
これを必ず実現したい。
できれば、出した統計に説明や考察を加えられればと思う。
統計の読み方が難しいので、統計が専門の隊員にも協力をお願いして理解を手伝ってもらうことにした。
できるだけ、有用な形で提出できるように。

このデータを9月に予定されている教育省表敬発表の時に紹介するのもいい。
それに絡めて、グラズエ(自分の任地)の学校保健の組織体制をアピールすればより教育省の興味がひけるだろう。

個人的には、一抹の迷いも抱きながら行ってきたこの身体測定。
でも何がどういう可能性をもっているかわからないもの。
誰かの一言で何かが開けるということはよくある。
もらったアドバイスやアイデアは大事に拾って、どんどん具体化していきたい。
それはとても楽しい作業だ。
アイデアは形にして実行して、相手に伝わって始めて意味があるものだと私は思う。
極端な言い方をすれば、実現しなければ始めからなかったも同じ。

またひとつ楽しい仕事ができた。