2010年11月17日水曜日

8 nov 2010 事故

今日、道端で事故があった。
職場の目の前だった。
2台のバイクが衝突。
2人のベナン人が怪我を負った。

道に出てみると一人は道路に倒れたまま動かない。重傷の様子。
その怪我人は衝突時にバイクから放り出され、高いところまで跳ねあがって空中から地面に叩きつけられたということだ。
背面から落ち、頭と背中を打ちつけたらしい。
周りに人だかりができていて、人々は一生懸命、布きれで倒れたけが人を仰いでいる。
処置をする者はいない。

近くの保健センターに電話をしてみた。
誰か処置できる人を送ってくれないか?
保健センターは歩いて10分以内のところにある。
センターには看護師や医師がいる。

とりあえず保健センターに連れてこないと処置できない。
道端で処置をすることはできない、との返事。

保健センターにいつも止めてある救急車は?
出してくれないのか?

救急車は出せない。
運転手がいないから。
それに近いから出せない。
あれは隣町の病院に病人を搬送するためのものだから、とのこと。

代わりに隣町の救急車を呼ぼうと電話する村の人たち。
救急車は来られない。
理由はわからないけど。

けが人が道路で倒れたまま、どんどん時間が過ぎて行った。
誰かが車に乗せて10分先のセンターに搬送すれば医師に見てもらえる。
職場には何台か車があった。
自分の上司の車もあった。

「誰かがこの人を運ぶ必要があります。救急車は来ません。」

職場の人に言ってみたが、誰かがその人を車に乗せることはなかった。
周りの人は「彼の子供に連絡だ」「連絡先がわからないぞ」
と話している。
怪我人は血を流しているわけでもないし、保健センターは10分先。
でも、車に乗せようとする人はいない。

どうすることもできない。
地元の人たちもそう思っている様子だったが、外国人の私には余計にどうすることもできない気がした。
ここにはここのルールがあるような妙な気もして、それ以上何もできなかった。

これが私たちの国なのよ、というようなことを同僚が言った。

どうして、なんで、と私の頭の中で色んな疑問が浮かびっぱなしになった。
日本人から見れば、あれは医療体制の不完備そのもの、そして非効率的な人々の謎の行動。

その人が亡くなったことを数時間後に上司から聞かされた。

ひたすら無力感を感じ、疑問を感じた日だった。
自分の行動を、人道的にこれでいいのか、ともちょっと疑った。

そして、自分も同じように事故にあえば、助けは来ないんだと思った。
(きっと何時間もかけて、離れた場所からJICAの関係者が助けには来るだろうが。)
大けがをしたら、ここではすぐに死んでしまうような気がリアルにした。

自分の身は自分で守らなければいけないんだと思った。
この国の人たちも、そして同じようにこの国に住む自分も。