2010年12月13日月曜日

26 nov 2010   警備員、もめごと勃発

ガルディアンたちの中でもめごとが勃発!

うちのガルディアン(警備員)事情は前に書いたとおり(記事NO2参照)
今や家族化している。
信頼もおけるようになって平和に暮らしていたのだけど・・

昨夜、キッチンに行くのに外にでると、二人のガルディアン(日勤の方と夜勤の方)がそろって私を呼びとめる。
「実はちょっとした問題(プチ・プロブレム)があるんですけど・・」

だいたいベナン人がプチ・プロブレムというときの問題は、あまりプチでないことが多い。
嫌な傾向、と思って聞いていると案の定。
ガルディアン同士の人間関係の不満がでるわでるわ。一時間はしゃべり続ける。

簡単に、うちの町のガルディアン(警備員)の体制を説明しよう。
うちの町には私を含め日本人ボランティアが二人いる。
そして二人とも同じ警備会社から2人ずつガルディアンを雇っている。
もう一人の隊員は私より先輩なので、彼女が雇っているガルディアンの一人が4人のガルディアンの中で一番先輩ガルディアンである。この一番の先輩ガルディアンLeonard(レオナ)は古株なだけでなく警備会社で研修を受けたことがあり、社長からも信頼をおかれている少し別格な存在。
だから、彼はうちの直接の警備員ではないけど、うちにもちょくちょく訪れて私を助けてくれたり、うちの警備員たちの教育や監督を行ったりもしている。
けれども、これは彼が自主的に自分はちょっと別格だから、先輩だからと言ってやっていることで、特にそういう役割を本部の警備会社から公式に頼まれているとかではない。

その辺が今回のややこしい事態を招いたのだと思う。
要はうちの二人の警備員たちはレオナにいちいち指図されたりするのが気に入らない。
聞いていると、レオナの指導や監督の理不尽なところをかたっぱしからあげたあげくに彼をうそつき呼ばわり。
今回は、警備会社からの自分の給料を彼がピンハネしたといって不満が爆発。
レオナが今まで、問題点を指摘して他のガルディアンをやめさせるように私たちに打診してきたことは何回かあったが、それも彼らに言わせると全部レオナのでっちあげの陰謀だとか。
彼らはレオナに逆らうと、そうしてクビにされるから反論もできないという。
なんというか、今まで4人のガルディアンチームのリーダーとしてやってきたレオナに対するクーデターのようだ。

レオナに対しては格別な信頼をおいてきた私と仲間の隊員。
そんなことを言われても、にわかには信じられない。
でも、うちの二人の警備員は口をそろえて、レオナを信じないで!うそつきはレオナだ!という。
二人もうちで半年も働いている警備員だし、信頼したいのはやまやま。

もう、いったい誰を信じていいのやら・・
これじゃ、「さーて、3人の中でうそをついているのは誰でしょう!?」という、矛盾点を見つけてうそつきを探し出す昔やったゲームのようだ。

なので私はみんなで一度ミーティングをして本音を言い合ったらどうかと二人に提案した。
「ここで不満を言われてもお互いの言い分に食い違いも誤解もあるだろうから、明日私たちのたちあいの下でレオナに正々堂々今言ったことを言ったらいい。そして、レオナの意見も公平に聞こうじゃないの。」と。

そして今日、もう一人の隊員とレオナを呼んで真昼間の暑い時間だったが、うちの庭先で話し合いを行うことになった。
なんだか村落開発普及員の仕事を、職場以外でもやっている気分だ・・。
休み時間なのに・・

そんなで始まった話し合いだったが、なかなか二人は昨日言ったことを自分から言わないし、互いの顔色をうかがってばかり。
あれだけ昨日は話し合に乗り気だったのに、今日はもういいよ、みたいな雰囲気。
なんで?
けれども、ためこんでいては何の解決にもならないので、こっちがちょっと誘導すると次第に話し合いはヒートアップしてきた。

二人の解釈とレオナの言い分には相当な食い違いがあることが判明。
要は、ただの誤解じゃないのか。
だから、誤解だから誰が悪いわけでもないし、これからコミュニケーションをお互いによくとってやっていってちょうだいね、となだめる私たち。
なのに、彼らにはいまいち伝わらない。
どっちが正しいか、みたいな対決姿勢をくずさない。

レオナは、私たちが自分を信じてくれていないと泣き出す始末。
いやいや、そういうこと言ってないでしょ!
信じてないとか言ってないでしょ!
でもレオナの悔し涙は止まらない。
肩を震わせ、こぶしをにぎりしめて子供のように嗚咽し、
「神のみぞ知るですよ!」と天を仰ぐ。
レオナは40近い2児のパパだ。
だけど、まるで少年のように泣く。

ちなみにベナンの男性はよく泣く。
たとえば、クビだと言われると「許して、考えなおして」と言って泣いたりする。
だから、珍しいことではないのかもしれないけど、正直日本人の私たちには、泣きじゃくる40歳のおっちゃんをどうしていいかわからず、ひたすらおろおろするばかりだ。
何を言ってもダメなので、もう一人の隊員は「もう、同じことばかり!そんなの自分たちで解決してよ!」と言って怒って部屋に入ってしまった。

焦る警備員たち。
雇用主を怒らしてしまったという気まずさも相まって、なんとかその場はおさまり話合いはおひらきになったけど、解散してからも現地語で激しく言い合っている声がやまない。

まったく、どう収集したらいいんだよ。

唯一安らげるはずの自宅の庭先で、ガルディアンたちが激しく言い争っているのを部屋の中から聞いていると、なんだか追い詰められた気分になってきた。
家の外では色んなベナン人に気をつかったり、時には好奇の視線や心ない中傷にも耐えながら暮らしているのだ。
せめて、せめて、自宅くらいでは何もストレスを感じたり、心配をしたりせずに心穏やかに暮らしたい。

頼むから仲良くして。
頼むから、私が自分を信じてないなんて不信感を持ったりしないで。
前みたいに平和に暮らそうよ。

こんな話し合いの最中ですら、彼らは自分たちは家族だからという言葉を口にする。
私だって家族だから、ちょっとのもめごとやそれに伴う煩わしさで彼らとの良い関係をあきらめたくないと思う。
だからこうして、暑い中、1時間以上の話し合いの場を設けたりしている。

でもこんな問題を抱え続けるならそれは結構つらい。
自宅では安らぎたーい!!

雇用関係ということで、一線をひいてガルディアンとつきあっている隊員は多い。
それもかしこいと思う。

でも、私はまだこの家族的なやり方でいい方向にやっていけると信じたい。