2010年12月31日金曜日

28 dec 2010 怒れる教師



今日は、職場の視学官事務所が騒然となった。

大きな声で怒鳴り散らし、視学官事務所の職員に文句を言いまわる訪問者。
若い男性の、小学校教師だ。

理由は小さなこと(ベナンの日常の中では)。
交通費を出してわざわざ視学官事務所まで来たのに、視学官が不在だとか。
必要な書類をなかなか職員が出さないとか。
別にこの人、長い時間待たされていないのに。
ちょっと待ってくださいと職員が下手に出ても、怒鳴る、怒る。

この教師、まるで忍耐力がない。自己をコントロールできていない感じ。
怒るにしても常軌を逸している。

その場に居合わせた他校の校長が、
「あんた、教師か?年長者に対してこんな態度をとるのか?」
と職員をかばうほど。

ベナンでは年長者に敬意を払う文化があり、また視学官事務所の職員はある程度の地位がある。
ここの社会にはここの社会の常識やルールがある。
それにも反しているということだろう。

この人が教師かぁ・・・と思うとちょっと怖い気がした。
教師の質。
ベナンの教育について話すとき、よく聞く問題の一つ。

数年前の政策による小学校の無料化と義務化によって、ベナンは教師不足だ。
急に小学校に通う児童が増えたので、あわてて教師候補を探して採用しなければならない。

この国では教師になるのに、特に資格はいらない。
教師候補にはある程度の教育を受けた人ならなることができ、候補者は地域レベルで少しの研修を受けると採用となる様子。
そのせいか実際「この人どうなの?」と思うような教師に出会うことも多い。(あくまでも個人的な感想です。)

すべての子供を学校に!というベナン政府の政策は、ミレニアム開発目標の観点からも一定の評価を得ているらしい。しかし、同時に教育の質に関して、一部からは懸念もされている。

今日はこの怒れる教師の登場でそんなベナンの現状を思い出した。
子どもたち、この人の下で大丈夫・・?


*写真:一時、騒然となった職場。