2010年12月21日火曜日

6 dec 2010 マラリア

マラリアに罹った!

マラリアは、マラリア原虫をもった雌のハマダラ蚊にさされることで感染し、治療が遅れると死に至ることもある世界3大感染症のひとつ。
対内に入った原虫は血管の中で赤血球を破壊していき、症状が出てから3日から5日以内に抗マラリア薬を飲まないと手遅れになるといわれている。

西アフリカは大抵の国がマラリア汚染国で、ベナンもそう。

マラリアには予防接種はなく、予防薬のみが存在する。
けれども、この予防薬で副作用が出たという隊員は珍しくない。
不眠ぎみになったり、悪夢をみたり、気分が沈んだりという症状だ。
だから、ベナンでも一定数の隊員が服用を断念。私も飲んでいなかった。
そのぶん、もちろん防蚊対策はしていた。
家では蚊取り線香をたき、扇風機をまわし、虫よけスプレーをふって外に出、蚊帳をつって寝ていた。
でも、どこかでハマダラ蚊にさされたらしい。

ガルディアンとの話し合いの後(前の記事参照)、どうも体がほてる。
日の当るところに長時間いすぎたから日射病かな?
氷などで体を冷やすこと数時間。
眠りに落ちて、目が覚めてもまだ体が熱い。夜8時くらい。
これはちょっとヘンと思って熱を測ると38.6度。
あらあら、熱がある。
いよいよ日射病か熱射病っぽい。

でも高熱だし、一応、事務所から支給されている簡易マラリア検査キットやっとくか。
中指を針でブスッと刺して血を出し、検査。
二本線が出たら、陽性。つまりマラリアだ。
じぃっと見ていると、あれ?うっすら真中に怪しい線が。
陽性!マラリア原虫が体内にいるよー!
日射病だと思っていただけに、びっくり。
でも、簡易キットの精度は95%以上と言われている。

JICAの健康管理員(看護師さん)に電話すると「じゃあ、手持ちのマラリアの薬を今すぐ飲んで、明日朝いちで、タクシーを借り上げてコトヌー(ベナンの経済首都)に上がってきてください!」との指示。
任地からコトヌーまでは順調にいってもタクシー(乗合タクシー。バスはない。)で4時間半だが、任地は地方の小さな町で、信頼のおける医療機関がないので上京するしかない。

深夜、熱冷ましがきれると猛烈な嘔吐と下痢、そしてものすごい悪寒。
寒くて仕方がない。ガタガタ震える。
でも、ベナンは熱い国だから家に毛布とか・・はない。
まさに地獄。

数時間苦しんだ後、熱冷ましが効いて朝になった。
ガルディアンがタクシー乗り場までタクシーを拾い、家まで呼んでくれた。
家を発つとき、「Bon guérison!」(早く回復しますように!)と言って、助手席のタクシーの窓に無理やり手をつっこんで後部座席に乗っている私に手を振り、心配そうな顔を見せてくれたガルディアンが印象的だった。

コトヌーの隊員連絡所(ドミトリーと呼ばれ、隊員が宿泊できる場所)の療養部屋で高熱と吐き気と戦うこと2日。
症状がなかなかおさまらないので入院。
一日中点滴をされ続ける。
熱は入院後2日くらいでひいたが、吐き気がおさまらない。
結局1週間くらい入院していた。

マラリア、恐るべし!
ほんとに苦しい。
高熱が出ている時にはものすごく弱気になり、意味もなく後ろ向きな気持ちになった。

今だから言える高熱中に思ったこと。

「もう二度と海外で暮らすなんてやめる!これが海外で暮らす最後だ!」
「他人の国に住もうなんて考えがバカだった!日本人は日本に住むべきだった!体がついてくはずない!」
「もう日本に帰りたい!残りの任期まっとうできないかも!」
「西アフリカにまつわるもの、みんな嫌!」
「人生の幸せは仕事より暖かい家庭だ!」

うーん。全部、意味がわからない。

ちなみに普段はこんなこと全然思っていない。

病気ってコワイ。

ベナン人もマラリアにはもちろん罹る。
日本人ほど重症化しない人も多いような気がするが(あくまでも印象。)マラリアが人々を悩ませているのは間違いない。
小学校でも「マラリアで学校を休む子供が多くて困る」と話す校長に何人かこれまで出会った。

どうしたらこういう感染症の恐怖や弊害から、ベナンの人々は解放されるのか。

日本には存在しない病気。マラリア。そういうものがここ、ベナンには存在するということ。